月食は、いつも同じように見える現象ではありません。月が少し暗くなるだけのこともあれば、暗い弧が月面をかじるように広がることもあり、月全体がくすんだ赤色に染まることもあります。この違いは、月が地球の影をどのように横切るかによって生じます。半影月食、部分月食、皆既月食という3つの名称は、月が地球の影の最も暗い部分である本影にどれだけ入るかを表しています。その配置を知っておけば、特に変化がわずかなときでも、何が起きているのか見分けやすくなります。月食の日付、接触時刻、継続時間、場所ごとの見え方については、最新の月食カタログをご覧ください。
地球がつくる2種類の影
太陽は点光源ではなく、広がりのある光源です。そのため地球は、太陽光が直接遮られる中央部分と、太陽の一部だけが隠れる外側の部分という、2種類の影をつくります。中央の影が本影、その周囲のぼんやりとした影が半影です。この境界は幾何学的なものです。半影の中では、月面上の観測者から太陽の一部がまだ見えますが、本影の中では地球が太陽を完全に覆います。
月食が起こるのは、地球が太陽と月の間に位置する満月のときだけです。しかし、月の軌道は地球の公転面である黄道面に対して5.14度傾いているため、ほとんどの満月は地球の影の上または下を通過します。満月が月と地球の軌道面の交点付近で起きると、月食が発生します。月の満ち欠けの解説では、太陽と地球に対する月の位置によって月相が決まる理由を説明しています。月食の種類は、月が地球の影をどのような経路で通るかによって決まります。
半影月食:広範囲にわたるわずかな減光
半影月食では、月は地球の半影を通過しますが、本影には入りません。月面を横切る、はっきりした暗い境界は現れません。その代わり、月の一部または全体に届く直射日光がわずかに減り、かすかな陰りが見えることがあります。特に本影に近い側で目立つ場合があります。この現象の始まりや終わりに、月のごく一部しか半影に入っていないときは、見過ごしやすいものです。
そのため、半影月食は実際に起きていて測定も可能な天体の配置でありながら、肉眼では劇的に見えないことがあります。さっと見ただけではわからなくても、写真では見つけやすい場合があります。ただし、カメラの自動露出が減光を補正し、画像同士を比べにくくすることがあります。撮影する場合は、構図と露出の設定を固定し、月食の前後に撮った写真と比べてみましょう。半影月食は、雲が月の前を通過したり月自体の明るさが変わったりする現象ではありません。地球が月から見た太陽を部分的に遮ることで、太陽光が徐々に弱まる現象です。
たとえば、2027年2月20日の半影月食は、半影食の継続時間が241分とされています。この長い時間、月が4時間にわたってはっきり暗く見えるという意味ではありません。陰りは徐々に変化し、半影の薄い外縁よりも、最も深く半影に入る部分のほうが気づきやすいでしょう。2027年2月のカレンダーでは、その月の正確な月相時刻を確認できます。月食カタログには、現象の詳細が掲載されています。
部分月食:暗い弧が月面を横切る
部分月食は、月の一部が本影に入り、残りの部分は本影の外にあるときに起こります。最もわかりやすい手がかりは、はっきり暗い弧が月面を覆うように広がっていくことです。本影の縁が曲線を描くのは地球が球形だからです。宇宙から地球を撮影できるようになるずっと前から、月食は観測者が地球の形を見いだす助けとなってきました。
影は月に重ねられた固体の物体ではなく、その縁も完全にくっきりしているわけではありません。地球の大気を通る太陽光が境界をぼかします。それでも、本影の外側にある明るい部分と、内側にある暗い部分との明暗差は、通常、半影月食の陰りよりずっと目立ちます。部分月食の間に月が消えることはなく、本影の外にある部分は直射日光に照らされたままです。
月がどれほど覆われるかは、月食の通り道によって変わります。本影に浅く入る場合は、小さな暗いくぼみができるだけですが、より深く入る場合は、月面全体ではないものの、その大部分が覆われることがあります。分類を決めるのは影の中での月の位置であり、観測者が月食を見られるかどうかではありません。地平線の状態、昼夜、天候、空における月の位置は、いずれも見え方に影響します。ロンドンの月のページのような都市別ダッシュボードでは、現地の月の出・月の入り、高度、方位、天気を確認でき、一般的な星空観察の計画に役立ちます。
皆既月食:月全体が本影に入る
皆既月食の間、月面全体が地球の本影に入ります。それでも月が見えるのは、地球の大気が太陽光の一部を屈折させ、影の中に送り込むためです。太陽光が大気を通過するとき、波長の短い青い光は赤い光より強く散乱されます。そのため、月に届く光は赤色やオレンジ色になることが多く、月面で反射した光が地球上の観測者に届きます。
よく使われる「ブラッドムーン」という表現は、こうした赤みを帯びた見え方を指すもので、月食の別の分類でも、必ず特定の色になるという意味でもありません。皆既月食の月は、銅色、れんが色、くすんだ褐色、あるいはかなり暗い色に見えることがあります。色や明るさは、地球の大気を通り抜ける太陽光の量などに左右されます。大気中のもや、雲、粒子も、通過する光に影響します。皆既月食でも月が消えるわけではありませんが、影が特に暗かったり空が明るかったりすると、見えにくくなることがあります。
皆既食とは、月全体が本影の中に入っている時間帯です。その前後には、月面が最も暗い影に入っていき、そこから出ていくため、皆既月食には部分食の段階も含まれます。日付のある例として、2028年12月31日の皆既月食は、皆既食の継続時間が71.3分とされています。月食全体の経過はこの中心部分より長いため、現象の一部しか見られない観測者でも、部分食を観察できる可能性があります。
観察中に注目したいこと
月食は肉眼で安全に観察できます。日食とは異なり、保護フィルターは必要ありません。双眼鏡を使うと影の変化を詳しく観察できますが、必須ではありません。月がよく見える場所を選び、月食の間に月が地平線の上に出ているか確認しましょう。月食カタログでは場所ごとの見え方を確認でき、月相カレンダーでは選んだ月の月相時刻を調べられます。
半影月食では、くっきりした境界を期待するのではなく、徐々に生じる不均一な減光を探しましょう。部分月食では、曲線を描く本影の縁が月面を横切る様子に注目してください。皆既食の間は、目が暗さに慣れるまで時間をかけ、月が一様に黒くなるのではなく、色や模様が残ることに注目しましょう。空を一度だけ確認するのではなく、月食の経過を観察することで、こうした違いが最もよくわかります。影がゆっくり進む様子を見ることが、半影月食、部分月食、皆既月食を見分ける手がかりとなります。